
正直なところ、
けっこう欲しいとか
思ってたり…
ビジュアルイメージの持つ
説得力って、
なにはともあれスゴイ。
|
世の最高学府にて行われている学問とは、おおむね何の役に立つのかよくは分からないもので、分からないからこそ面白くも重要である、などという話も聞きますが……特に理系分野などでは、およそ実用とは無関係に思える研究が、日々行われているようです。
例えば「倒立振子(とうりつしんし)」。その名の通り、上下逆さまの振り子です。子供のころ手のひらに立てて遊んだ傘やホウキが、いわばその典型的サンプル。当然不安定なそれを、いかに安定して立たせるか……というのが、制御工学の重要な学術的研究課題らしく、偉い大学の先生方が長年、ああでもないこうでもないと、研究を重ねているのだそうです。
……つまり、何の話かといいますと、「セグウェイ」なわけです。「ジンジャー」といった方が、通りがよいでしょうか。
2001年初頭から「世紀の大発明」と騒がれ、先ごろ公開された「立ち乗りスクーター」。前評判は、やや大袈裟に過ぎたような気もいたしますが、それでもハンドルもブレーキもなしに自在に操縦が可能で、悪路や段差も平気で乗り越えて走行する「セグウェイ」のニュース映像には、皆さまも少なからず興味を引かれたことと思います。
この「セグウェー」、実はまさに、倒立振子の基本原理そのもの。見た目も同じ、平行2輪車上に倒立振子を立てた実験モデルが、すでに10年以上前に「日本ロボット学会」で発表され、しかも特許まで申請済み。考案者である大学教授は、「自分が元祖」と主張しているようなのですが……。
■ まぁ、いずれが先か、の問題はさておき。その倒立振子を「セグウェー」という形で実用化してしまったところが、すなわちアイデアの勝利。学者とビジネスマンの違いといいますか、プレゼンテーション能力の差といいますか、うまいことやったな、といいますか……。
■ 結局、「セグウェー」に出し抜かれた偉い大学の先生方は(おそらくは内心穏やかではないにしても)引き続き何の役に立つのか分からない研究に、今日も余念がないのでしょう。
そして、それはやっぱり、尊いことだよなぁ……と思う次第なのでした。
追記 (03/10/8)
この「セグウェイ」、現在アメリカでは$4,950にて販売中。日本に輸入OK! という国内業者もあるようですが、それはちょっと無茶だと思います。欠陥が見つかってリコール、なんて騒ぎもあったようですね。 |